進化する余地があるとすれば…
ここはサラッと触れます。まだプレオープンの段階ですしコロナ禍のため着手できないことも多くあると思います。
- オリオンビールの売り子さんがいるとビールの購入が楽になりそう
- コンコースの賑わいがもう少し欲しいかもしれない
(NBAはどうなっているんだろう) - コンコースでも唐揚げとナチョス以外が買えると良いかも
- フルキャパのときは2階正面の入り口の混雑が予想される
- アリーナ外周にも出店などの賑わいが欲しいかもしれない
- 登場時の選手の顔写真・名前の掲出など、映像はもっと改良の余地がありそう
個人的にはプロ野球と比べてしまうので、全体的には試合以外の静けさが印象に残りました。
ZOZOマリンスタジアムはこんな感じで外周にもキッチンカーが並んで開場前からにぎわうんですよね。
あと売り子さんは欲しいなと思いましたが、「まん延防止」が出ているのと、多くのお客さんは車で来ると思うので、その辺がどうかですよね。
私のように、タクシーでアリーナまで往復するのはレアケースだと思いますし。
1万人が入るとフードラウンジがより混雑したりとか、課題も出ると思います。ただ、このアリーナを作ったキングスの運営陣ならなんとかしてくれそうな気はします。
あとは階段状の座席の前数列を引っ込めてパイプ椅子を配置するという部分はなぜだろう、と思いました。
噂では沖縄市体育館時代のシーズンチケットの移行をスムーズに行うためだと聞いたので、来シーズンは備え付けの座席が一番下まで引き出されるのかどうかが気になります。
沖縄アリーナの「根本的な違い」
今までのアリーナは「市民利用主体」
長くなったので2ページに分けました。
2ページ目は少しマニアックな部分をお話します。
沖縄アリーナが他のアリーナと大きく異なるのは「存在目的」です。
千葉県にも千葉ポートアリーナや船橋アリーナといった、規模の大きい「アリーナ」と名がつく施設がありますが、沖縄アリーナとは根本的な目的・設計思想が異なります。
千葉ポートアリーナや船橋アリーナなど、現在Bリーグで利用されているアリーナ(体育館)の目的の大半は市民利用、あるいは国民体育大会の開催です。
「スポーツをすること」がメインのため、床面積は広く取られ、例えばバスケットボールのコートであれば3面確保できるスペースがあることが多いです。
当然、バレーボールやバドミントンなどあらゆる競技にも対応しています。Bリーグの試合で床にシールの跡がたくさんあるのは、市民が使う色んな競技のコートを毎回はがして、プロバスケットボール用に張り替えているのです。
以下は船橋アリーナの写真です。
5000名が収容できる規模の大きいアリーナである一方、床には多くのコートをはがした線の跡があります。
「そのうえで」客席等を取り付けるので、中央の一面コートで行われるプロバスケットボールを観るうえで、見えにくい座席や中途半端なスペース等、観戦に適していない事象が生じたりするのです。
当然、飲食物の販売なんて最初から想定していないので、火器の使用に制限が加わりますし、そもそも販売スペースがほとんどない…ということもあります。
「プロバスケットボールを観るために」作られたアリーナ 。ハードとソフトの一体経営
一方で今回訪れた沖縄アリーナは、いちばん使うプロスポーツチームである、琉球ゴールデンキングスがガッツリ設計・運営に絡んでいます。
そのため、
- どの座席からもバスケットが観やすい
- 試合を盛り上げる演出もしやすい
- 物販・飲食も充実している
という、プロスポーツでは当然のことが実現できるのです。
お客さんが気持ちよくバスケットボールを観れて、会場で多くのお金を使いたくなる、使うことができる。
そのような施設を「夢のアリーナ」と呼ぶのでしょう。
豊富なスイート席を擁する、完璧なVIP対応
上述にもありますが、沖縄アリーナには様々な「スイート席」が数多く用意されております。
それぞれ通常の座席とはエリアが分かれており、エントランスも別。専用ラウンジまであるそうです。
「スイート席」が多いメリットは座席単価が高いことによる客単価の向上だけではありません。VIP対応です。
スイート席が潤沢にあることで、スポンサーをはじめとした、国内外の「エグゼクティブ・VIP」を集めることができます。
そうした方にラグジュアリーな観戦体験をお届けできますし、附属するラウンジでそうしたVIPの方の交流を促進したり、商談を行うこともできます。
プロスポーツのスポンサーを行う方の中には、他のスポンサー企業の役員など、いわゆるVIP同士での交流・人脈を拡大させていきたい人は多いはずです。
沖縄アリーナはそうしたVIPの交流のハブとして機能することで、さらに多くのスポンサーを呼び込むことができると思います。
まさに「稼げるアリーナ」なのです。
個人的にはアウェイのスポンサーさんなんかを呼んで、沖縄・本島の企業交流なんかが出来たら面白いかなと思います。
既存のBリーグのアリーナとは全くの別物であり、ライバルはプロ野球やJリーグ
上記のような性質・背景から、沖縄アリーナはもはや既存のBリーグのアリーナとは比較ができないのです。もはや全くの別物です。
性質としては、プロ野球のZOZOマリンスタジアムや横浜スタジアム、福岡PayPayドームなんかが近いと思いました。
私自身も、沖縄アリーナに訪れた感想としては「これは野球場に近いな」と思いました。
沖縄アリーナは琉球ゴールデンキングスが指定管理者となりアリーナとクラブの一体運営をしております。
これはプロ野球では広島東洋カープ(マツダスタジアム)や千葉ロッテマリーンズ(マリンスタジアム)、Jリーグでは鹿島アントラーズ(カシマスタジアム)が行っている制度です。
たとえば私がよく訪れるZOZOマリンスタジアムは、千葉ロッテマリーンズが指定管理者となり、球団主導で座席の新設・リニューアルなどを多く手掛けてきました。
横浜スタジアムもPayPayドームも同様で、こちらは球団の運営会社がスタジアム・ドーム自体(あるいは運営企業)を所有しております。
沖縄アリーナやZOZOマリンスタジアムよりも強い形で球団主導でアリーナの改良・改善を行い続けています。
沖縄アリーナの凄さは既存のBリーグから抜きんでるだけでなく、経済規模で全然上回るプロ野球チームやJリーグチームと同様のスキームでアリーナという大規模施設を運営していると言うことなのです。
(※Bリーグでも大阪エヴェッサがおおきにアリーナ舞洲の賃貸借契約を実現し一体運営をしているが、舞洲は床面積や座席配置等の観点からプロバスケのためのアリーナとは言いにくい。)
日本最初の「夢のアリーナ」、ぜひ行ってみてください。
今回は弾丸で沖縄アリーナのチケットを取り急遽行ってきましたが、本当に行ってよかったと思いました。
いちばんはBリーグのポテンシャルを感じることができたことです。今観ている様々な試合も、アリーナが変わることで「これだけ面白くなる」ということを自分の五感で体験することができました。
「Bリーグはこれからもっと流行る、面白くなる。」
そう信じることができたのが、沖縄アリーナから持ち帰った一番の財産かもしれません。
残念ながら今シーズンは沖縄アリーナでの試合はほとんどなく、行くとしても来シーズン以降になります。
ご時世的にも行きにくい感じではありますが、ぜひ1人でも多くの方が沖縄アリーナで試合を観て、Bリーグ・日本バスケの可能性に目を向けられればと思います。
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