「令和は、バスケだ。」
野球・サッカーに次ぐメジャースポーツへ、バスケが駆け上がれるか。この「令和元年」という年は、プロバスケットボール業界にとっては勝負の年だと言われています。
新時代・令和のバスケは「男子代表のワールドカップ出場」から始まりました。出場は13年ぶり、自力では21年ぶり。1勝こそ挙げることはできませんでしたが、地上波で生放送されるなど「日本のバスケ」が注目される機会にはなりました。
さらには、日本代表でもある八村塁選手がNBAのドラフトに選出。これからワシントン・ウィザーズの一員として、NBAのファーストシーズンを戦います。
他にもNBA2シーズン目の渡邊雄太や、W杯を機にNBAとの契約を手にした馬場雄大も「NBA本契約」をつかむべく、アメリカで戦います。
この追い風を、日本国内のBリーグが活かせるか。これだけの追い風を受けているだけに、「数字」がシビアに求められるでしょう。
そのような背景の中で10月3日に開催されたBリーグ開幕戦。私も、現地で観戦してきましたので、その模様をお伝えできればと思います。
会場は横浜アリーナ。カードは「川崎vs宇都宮」
Bリーグ2019 – 2020シーズンの開幕戦は10月3日・木曜日。対戦カードは「川崎ブレイブサンダース vs 宇都宮ブレックス」の1試合のみの開催。横浜アリーナで行われました。
昨年の開幕戦は「千葉ジェッツvs川崎ブレイブサンダース」で、船橋アリーナの開催でした。昨年も木曜日開催であり、 以下の意図が考えられます。
- 開幕戦を1試合だけにすることで、テレビニュースなどの露出を確実にする
- 1試合だけ前もって行うことで、週末の開幕カードの集客につなげる
- 開幕戦をプロ野球・クライマックスシリーズとずらす
対戦カードに選ばれたのは「川崎ブレイブサンダース」と「宇都宮ブレックス」。個人的には「千葉ジェッツの名前がない」ということには違和感がありましたが、両チームともに日本代表を複数名ずつ抱えており、かつ人気のあるチームでもありますので、一定の合理性は感じます。
確かに千葉ジェッツを除けば、この2チームまたは「アルバルク東京」しかないかなと思います。
(横浜開催で横浜でないのは少々かわいそうではあります)
試合は、新旧戦力が噛み合った川崎の快勝
(バスケのゲームレポートは完全に素人なのでサラッと流します(笑))
試合は川崎が78-57の快勝。昨年、シーズンで全体2位の成績を残したメンバーをほとんど替えずに挑んだ宇都宮にとっては、予想外の結果だったと思います。
川崎は日本代表から帰ってきたばかりのファジーカス選手が20得点15リバウンド、篠山選手が19得点。新外国人のカルファニ選手が10得点12リバウンド、ヒース選手も8得点12リバウンドと、新旧戦力がともに結果を残しました。
時には外国人選手オン2+ファジーカス選手をフィールドに置き、インサイドで宇都宮を圧倒する展開も見せました。
宇都宮は昨年の中心メンバー・鵤選手が出場できなかったのが痛手だったほか、ミスも目立つなど本来のパフォーマンスは出せていなかったかなと感じます。
試合自体は後半で差が広がりはしましたが、最後まで楽しく見ることができました。
まだBリーグも序盤とはいえ、10月6日の第2戦でも川崎が勝利したことを踏まえると、今年の川崎は千葉・東京・宇都宮のビッグスリーに食い込んでくることも期待できそうですね。相当怖い存在です。
開幕戦の「演出」の感想
今年のBリーグの開幕戦には”B.LEAGUEが提案する進化した「アリーナエンタメ」!!”と銘打って、主に以下の5点を公約として掲げていました。
- B.LEAGUE史上最多!!「圧倒的な照明演出」
- よりバスケット・選手にフォーカス・シェイプ!!「本質的なシーンづくり」
- 世界に誇るダンスパフォーマンス!!!(ハーフタイム)
- B1″THE”GAME SPECIAL SESSION!!!(入場時)
- シークレットゲストパフォーマンススターティング5紹介
それぞれに対して、簡単に感想を述べさせていただきたいと思います。
①圧倒的な照明演出
1の「照明演出」については、「悪くはない」というのが正直な感想。以下が実際の演出で、確かに光の量はモリモリでした。栃木は青と黄色・川崎は赤色とチームに合わせて色も変えていました。
ただ、「光」に関しては、日ごろ船橋アリーナでのプロジェクションマッピングや、ブレックスアリーナのレーザービームを見ておりますので、今回の演出に対して「驚く」というほどではないかなと思いました。
正直、演出に対するハードルは年々高くなっていると思います。千葉や宇都宮のブースターが演出で驚くには、かつての「LEDコート」クラスが求められるのかなと感じました。
これは「開幕戦どうこう」という話ではなく、「日ごろのBリーグのレベルが高い」ということなので、比較的ポジティブに捉えています。
②本質的なシーンづくり
2の「本質的なシーン」というのが、何を指しているのかよくわかりませんでしたので割愛します…。
わかる人いましたら、解説をお願いしたいです…。
③世界に誇るダンスパフォーマンス
3のハーフタイムのパフォーマンスは、私がダンスに造詣がないために評価ができません。よくあるハーフタイムだが、ゲストが世界的パフォーマーといった感じです。
④B1″THE”GAME SPECIAL SESSION!!!
4は選手の入場時に「生演奏をする」というものでした。これは痺れましたね。サックスなどの生演奏の中で選手入場・スタメン発表が行われるのは挑戦的であり、カッコよかったです。
他のチームで採用するチームがあるのなら、ぜひ観に行きたいと思います。
⑤シークレットゲストパフォーマンススターティング5紹介
これは以下の映像を見るのが早いと思います。
落語家の立川吉笑さんが、試合開始前に落語を披露してくださいました。
開幕戦の横浜アリーナの落語は相当異質でしたが、オリジナルのBリーグ落語を楽しく見る・聞くことができました。そのあとのスターティング5のアナウンスも彼特有のテイストですごくよかったです。これは挑戦的で、この場でしか聞けない特別なものだと思いました。
バスケは演出がアメリカ由来のものに偏りがちだとは思いますが、こういうところで日本の伝統芸能を取り入れてくるというチャレンジは支持したいと思います。次はハーフタイムショーで採用してくれるチームが出てくれることを願います。
その他の点に関しては、まず、川崎・宇都宮両チームともにクリエイティブの色使いがきれいでした。また、 選手紹介の映像・画像が各選手の変顔で可愛かったです。笑
あと、川崎ブレイブサンダースオリジナルのクラフトビールも販売しておりました。この辺の営業努力はさすがDeNAですね。
家に帰ってからBリーグのニュースが多かった
W杯の後、かつ1試合だけだったのが効いているのかな?と思いました。報道ステーションをはじめ、キー局のニュースになっていて、ここは狙い通りいったんだろうなと思いました。
「9514人」の来場人数は多いと言えるのか?
今年のBリーグ開幕戦の来場人数は「9514人」とのことでした。
この数字が「多いのか・少ないのか」を考えるのは評価が難しいですが、私は「決して多いとは言えない」と考えています。理由は以下の3点です。
- Bリーグ初年度の開幕2戦目が金曜日で 9,461人だったこと
- 横浜アリーナの2階席がスカスカだったこと
- Bリーグには横浜アリーナを満員にできるポテンシャルがあること
①Bリーグ初年度の開幕カードが9,461人だったこと
3年前。Bリーグ初年度は代々木第一体育館で行われました。その時は1試合目が祝日の木曜日、2試合目が金曜日の開催でした。観客が多かったのは金曜日の方で9461人。
当時と計測方法が同じかはわかりませんし、会場が代々木ではなく新横浜だったという言い訳もできます。ただ、そこからの伸びは鈍い印象です。
②横浜アリーナの2階席がスカスカだったこと
9000人以上が来場したとはいえ、キャパ12000人の横浜アリーナ。2階席は空席が目立ちました。2階席に限っていえば、空席の方が多いと思います。
全体を通してみれば「単価が高い席から売れている」ので、そこはBリーグはさすがだなと感じました。ただ、これだけ空席があるのを見ると、圧倒的に物足りなさを感じます。
③Bリーグには横浜アリーナを満員にできるポテンシャルがあること
じゃあ「Bリーグに横浜アリーナが大きすぎるのか」と言われると、私はそんなことはないと感じています。今年の5月に行われたチャンピオンシップファイナルは横浜アリーナを満員にしました。昨年の5月も同会場・同カードで同じく満員です。
Bリーグにはそれだけのポテンシャルがあって、それだけの成果を残しているのです。プロモーション面を見ても、Bリーグ開幕戦は「もっとやれた」と感じています。
個人的には、集客で圧倒的ナンバーワンを記録してきた千葉ジェッツを開幕カードに選んでいないのが超不満でした(笑)
自分はファンだから超贔屓して考えてしまう面もあるかもしれませんが、一番「数字を持っている」チームなのは事実で、かつ、富樫選手の「1億円報道」も世間を賑わしました。ケガでW杯は欠場はしましたが、その知名度と話題性に賭けてみてもよかったのでは?と感じています。
まあこの場に千葉ジェッツじゃなくて満員でもないから、ヒトコト言いたくなるだけなんですけどね。笑
(…と思ったんですけど、10月6日の渋谷vs千葉が満員には程遠く、その考えは少し変わりました。その件はまた別途。汗)
まだまだ慢心できないBリーグ
日本には、アーティストのライブなど、横浜アリーナを満員にできるコンテンツはたくさんあります。
その中で、Bリーグが「日本トップクラスのエンタメ」の地位を確立していくためには、最近のチケットシステムのトラブルも然り、やらなければいけないことは多数あると思います。
ぶっちゃけこの開幕戦も、新規層どれだけ引っ張れたの?そもそも集客・プロモーションはどれくらいやったの?という感覚もあります。これは私が新規層側ではないので、正しい感覚かどうかはわかりませんが。今回は普段のBリーグチームではなく、運営主催の試合。普段のBリーグチームより頑張ったの?というところには正直、疑問です。
「バスケは最近人気でいいよね~」という雰囲気が私の周りで感じられますが、私はまだまだだと感じております。ソフトバンクが過剰に囲い込もうとしている印象を受けますが、うまくバランスをとって「観客ファースト」であってほしいです(笑)
とはいえ、日本のバスケの知名度と人気はこの1年間で相当積み上げていったと思います。馬場選手のNBA挑戦など、最近もポジティブな話題があり、心強いです。その勢いを持続し、「1万人アリーナを常時満員に」できるよう、私も「超個人的な」Bリーグ広報活動を続けていきたいと思います。
(この1年で10人以上の新規を連れてきているので少し褒めてください。笑)