※2018年4月に走ったのを思い出しながら執筆
聖地・箱根を舞台にしたマラソンフェス
箱根、芦ノ湖。
この文章を書いている目の前では箱根駅伝の選手が、ちょうど芦ノ湖周辺を走っている。
以前出場した、「箱根ランフェス」というマラソンイベントで、ハーフマラソンに挑戦した。
私としては人生で2回目のハーフになったが、1回目は「千葉マリンマラソン」という、埋め立て地のド平坦コースを走るものだった。箱根の山道など走ることができるのか、あれから3年が経つ今でも自分自身に対して疑問である。
富士山を望む箱根の雄大な自然を舞台にした大会「箱根ランフェス」は、
ランニング・アウトドア・フェスが融合した最新の複合的なエンターテイメントスポーツフェスティバルです。
「箱根ランフェス」とは、最近は毎年4月に箱根・芦ノ湖で行われているマラソンイベントだ。
関東や東海の各地から多くの方が出場する。
箱根は各都市からは遠方のため、「せっかく箱根に来たならば」と、地元の店が出店を構えたり、近隣の温泉施設と共同でイベントを行ったりしている。
会場についた途端この雰囲気。文字通り「フェス」で、楽しかった。
ハーフマラソンは過酷なコース設定
箱根ランフェスには「ハーフ」と「8キロ」の2つのコースがある。
どちらのコースも共通するのがとにかく「高低差」。
マリンマラソンとは対照的に「平坦なコースがない」と言えるほど、アップダウンしかない。
そして高低差は最高で270m。私が育った千葉県には270m以上高い場所はほとんどないのでは…。
絶景の芦ノ湖スカイラインをランナーが駆け抜ける箱根ランフェスのメインコンテンツです。箱根湖畔ゴルフ場付近をスタートし、芦ノ湖スカイライン南側出入口付近を折り返す全長21㎞のハーフマラソン。スタートから一気に270mを上るなど、アップダウンの激しいハードな挑戦し甲斐のあるコースです。
ちなみにマリンマラソンの高低差は以下の図。高低差は最大でも10mない。
一瞬驚くけど、スケールが違うからね。スケールが。
こんな前情報を持っていたので、「完走できないんじゃないか」と不安でしかなかった。
正直、エントリーしたのを後悔していた。
永遠に感じた、270mを登る道
まず、いきなりスタート地点が「上り坂」で面を食らった。この時点で絶望感に満ち溢れていた。
そしてスタート。そこからひたすら上り坂を駆け上がっていく。
当然スピードに乗ることもできないので、坂が長く、無限に続いているように感じた。
まさか最初の3キロでメンタルがへし折られそうになるとは思わなかった。
死にそうになりながら、最初の坂を駆け上がった。
多くの高層ビルよりも高い、高低差270mを駆け上がったにも関わらず、マラソン上は3キロしか進んでいない。
ハーフマラソンは、始まったばかりだった。
「あっちの方に山がある…コース…?」
さすがに最初の坂ほど狂った箇所はもうない。
ところどころ見えるようになった富士山がとても美しく、少しだけ心に余裕ができるようになってきた。
自然が豊かで空気が澄んでいる。そして天気も良い。
山道を走っていると「つらい」という感想しか出てこないので、なるべく眼下に広がる自然に思いを寄せることでメンタルを保つようにしていた。
最初の坂と同じくらい絶望的だったのが、
「ガードレールの向こう側にある山を、人が走って登っている 」 のを見た瞬間だった。
「あんなヤバイ上り坂走るんか…」
「そもそもあの山まで走らないといけないのか…」
「まだ往路…」
あの瞬間感じた絶望は今でも覚えている。
ちなみに、往路の途中で1位の人とすれ違いましたが異次元の速さだった。どうなってるの。
給水所にはポカリとうどんと饅頭
箱根ランフェスは公認レースではないため、給水所が細かくセットされていた。
これは本当に助かった…というか、これで給水所3か所しかなかったら誰も完走できていないと思う。笑
各給水所にポカリがあったのが良かった。
また、特定の給水所にはうどん・お饅頭といったフードもあった。私は食べる元気はあったのか、往復でうどんもお饅頭も召し上がった。
とても美味しかった。
前半に下った坂は、後半は上り坂になる
コースになっている有料道路「芦ノ湖スカイライン」を端から端まで走り切り、折り返し地点を迎えた。
気力・体力ともにしんどいが、なんとか、ここまで来れた。
復路に入って一発目に来たのは「さっき下った上り坂」。
往復のコースなので、往路に下った坂はすべて上り切らないといけないのだ。
最初の「270m」の上り坂がないとはいえ、復路でさえ100m以上は登らないといけない。
気力・体力は限界を迎え、復路では2,3回ほど足が止まって歩いてしまった。
それでもタイムアップにはならまいと、可能な限りは走り続けた。
こんな経験は初めてだった。
モチベーションはめちゃくちゃ高いはずなのに、もう足が上がらないのだ。
往路は1キロ5分半~7分のペースでの走り続けていたが、復路は歩いたことで1キロ9分台のラップを刻んでしまった。
このコースを走り切る人はスゲエよ…尊敬する。
最後の下り坂は力を振り絞って
残り4キロ地点にある最高到達点「三国峠」を越えると、残りのコースはほとんど下り坂だった。
スタート直後の「270m」も、帰りは下りだ。
その前で歩いた情けなさもあり、最後の下り坂は全力で走った。
最後は1キロ5分前後で走り、前の人達をごぼう抜き。
残っていた気力・体力をすべて吐き出すかのように、前へ前へ進んでいった。
ゴール直前の小さな坂でさえ
ゴールまで後少し。
そこにある、「見た目ではわからないような坂」も「最終関門」のようなきつさだった。
無事ゴール!
和太鼓の演奏が鳴り響く中、なんとかゴールすることができた。
タイムは2時間15分。
半年前に走った千葉マリンマラソンのときよりも、15分遅いネットタイムだった。
とはいえ、事前には「2時間40分で走れれば…」「そもそも完走できれば…」と考えていたので、自分的にはかなり満足だった。
ゴールの裏では箱根名物の「黒たまご」を配っていました。
塩をたっぷりかけて食べるのが美味しかった。完走後の身体に塩分が染み渡るわぁ…。
あとはブースで売っていたカツサンドも買って食べた。うめえ…。
人生でいちばんキツかった、かもしれない
完走は率直に「キツかった」。
後に走ったフルマラソンよりも遥かにキツかったし、正直、今後の人生でこれよりキツイ体験はないのかもしれない。
ただ、本当に良い経験になった。箱根駅伝を見る目も少し変わって、5区と6区が身近に感じられるようになった。